【60代の若返り術】しわシミより姿勢が大事|実年齢より若く見える人の秘密と毎日の整え方
5月に入りまして、庭のもみじの若葉が日に日に色濃くなってまいりました。窓を開けますと風がふわりと部屋に入ってきて、新緑の青々とした香りが胸いっぱいに広がってまいります。藤の花が淡い紫を揺らし、つばめが軒下を行き来する姿を眺めておりますと、こちらの背筋までしゃんと伸びるような心持ちでございます。
皆さま、こんにちは。すみ子でございます。
先日のことでございます。久しぶりに撮っていただいた写真を眺めてみましたら、思っていた以上に背中がまるくなっていて、はっと胸を突かれてしまいました。お化粧もきちんとしていたつもりなのに、なんだかどこか疲れて見えるのです。年齢を重ねても、できることなら若々しくいたい。そう願う方は多いのではないでしょうか。今日はしわやシミ以上に、見た目年齢を大きく左右する「姿勢」のお話を、ゆっくりお茶を入れる気持ちでお伝えしてまいります。
同じ年齢でも見た目に差がつく、本当の理由
不思議なものでございますね。60代の前半までは、お友達同士でそれほど大きな差を感じなかった見た目年齢が、65歳を過ぎたあたりから急に開いてくるのでございます。「あら、あの方、急にふけたわね」と感じる方がいらっしゃる一方で、「えっ、本当に70代でいらっしゃるの」と驚くほど若々しい方もいらっしゃいます。この差は年齢を重ねるごとに、ますます広がっていくと言われております。
私もはじめは、シミの数や白髪の量がその方の見た目年齢を決めているのだろうと思っておりました。けれども、よく観察してまいりますと、どうやらそれだけではないのでございます。人がどなたかを目にした時、真っ先に感じ取っているのは、立ち姿、歩き方、お話しになる時の表情、そういった「動きのある部分」だそうでございます。お顔のどこかに皺がいくつあるかよりも、その方が全身からどんな空気を漂わせているか、そちらの方が印象を強く決めているのですね。
背中が前に丸まり、歩幅が小さく、目線が下がっていらっしゃると、それだけで実年齢よりも五歳、十歳上に見られてしまうことがございます。反対に背筋がすっと伸びて、軽やかに歩いていらっしゃる方は、多少のシミや白髪がおありでも若々しく映ります。姿勢が良いと胸が開きまして、首が長く見えるのです。すると、首やお顔のたるみも目立ちにくくなりますし、お声もはっきり出やすくなる。歩幅が広くなれば、自然とお顔が上を向いて表情も生き生きとしてまいります。
逆にどんなに高価な化粧品をお使いになっていらしても、猫背でお顔が下を向いていらしたら、疲れていらっしゃる方に見えてしまいます。つまり、その方全体の印象を若々しく見せる土台こそが、姿勢なのでございます。姿勢を変えるだけで印象がぐっと変わる、というのはそういう仕組みなのですね。
私のお茶飲み友達のあやのさんも、ご主人さまに先立たれてから少しずつお背中が丸くなっていらしたのですが、最近またすっと背筋を伸ばしてお歩きになるようになりました。「すみ子さん、私ね、お写真を見て本当にびっくりしたのよ」とおっしゃって、お母さまの晩年のお姿に、ご自分の姿が重なって見えたのだそうでございます。それからは、お台所に立つ前に必ず壁に背中をつける、と決めていらっしゃるとのこと。たったそれだけのことで、お会いするたびにお顔の表情まで明るく見えるようになりまして、こちらまで嬉しい気持ちになるのでございます。
知らず知らずに陥りやすい、老け見えの五つの落とし穴
ここで、ふけて見えてしまう方が陥りやすい五つの落とし穴を、一緒に見てまいりましょう。ご自分に当てはまるものがないか、心の中でうなずきながら読んでくださいませ。
一つ目は猫背でございます。背中がまるまって頭が前に出てしまっておりますと、それだけで実年齢プラス五歳はふけて見られてしまいます。猫背は全体的に元気がなさそうな、お疲れの印象を与えてしまうのです。スマホやお針仕事、お料理など、私たちの日常はどうしても前かがみになる作業が多うございますから、気がつけば背中が丸くなっていらっしゃることも多いはずでございます。
二つ目は歩き方でございます。歩幅が小さく、すり足のように歩いていらっしゃると、足腰が弱っている印象になります。これもまた、ふけて見える原因のひとつでございますね。お買い物の帰り道など、お荷物を抱えたままちょこちょこと歩いていらっしゃると、ご自分が思っていらっしゃるよりも年齢を重ねて見られてしまうのです。
三つ目はお顔が下向きになっていることでございます。スマホや本を覗き込むようにお顔を下に向けていらっしゃると、首にしわが出やすくなり、表情も暗くなってしまいます。ご自分のスマホをご覧になる時の角度、思い出してみてくださいませ。膝の上に置いて、お顔を下にして見ていらっしゃること、多いのではないでしょうか。
四つ目は骨盤の歪みでございます。座り方が崩れていらっしゃったり、骨盤が寝てしまってお腹がぽっこり出るような姿勢は、だらしない印象を与えてしまいます。ソファに沈み込むように座って長時間テレビをご覧になる、椅子に浅く腰掛けて背中を背もたれに預ける、そういった座り方が習慣になっていらっしゃると、骨盤はだんだん本来の位置からずれてまいります。
五つ目はお声と話し方でございます。お声が小さく、ぼそぼそとお話しになると、自信がないように見え、実年齢より上に思われてしまうことにつながります。お声というのは姿勢ととても深く結びついておりまして、胸が縮こまっておりますと、息が浅くなって声量も落ちてしまうのでございます。
いかがでございましょうか。「まあ、全部心当たりがあるわ」とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんね。けれども、ご安心くださいませ。これらは姿勢を意識した習慣に変えるだけで、すぐに若見えに近づけるのでございます。
今日から始められる、五つの若返り姿勢習慣
ではここで、今日から始められる簡単な姿勢習慣を、五つご紹介いたします。どれも特別な道具もお金も必要ございません。お台所に立つついで、テレビをご覧になるついでに、できるものばかりでございます。
一つ目は椅子スクワットでございます。椅子に浅く腰掛けて、立ち上がってまた座る。これを五回だけ繰り返すのです。太ももやお尻の筋肉が鍛えられまして、転倒の防止にもなります。お食事を取る前に椅子に座ったらやる、といったように、何かのついでに決めておくと習慣になりやすうございます。私もお茶を入れる前に必ずやる、と決めておりまして、もう三年ほど続いております。
二つ目は壁立ち背筋チェックでございます。壁に背中、お尻、かかとをつけて立ってみてくださいませ。背中が自然と壁につくでしょうか。まっすぐ立っているおつもりでも、背中が前に出ていることが多いものでございます。壁にぴたっとくっついて立つだけでも、姿勢のリセットになります。歯磨きのついでや、お風呂上がりの習慣にされるのがおすすめでございます。一日一回、壁を背にして立つ。それだけで、ご自分の姿勢の癖に気づくことができます。
三つ目はかかとから歩く意識でございます。お足を前に出す時、かかとから着地するように歩くと姿勢が整い、歩幅も広がります。お散歩やお出かけの際に、ぜひ意識してみてくださいませ。最初は不慣れでぎこちなくお感じになるかもしれませんが、一週間も続けますと、自然と歩幅が広くなってお背中も伸びてまいります。新緑の風が気持ちのよいこの季節、近所をひと回りなさるだけでも、よい運動になりますね。
四つ目はスマホや本を、お顔の高さで見ることでございます。うつむいて見る癖をやめるだけで、首のしわが防げます。姿勢を崩さずに画面をご覧になる習慣を意識してみましょう。便利なスタンドもたくさん売られておりますので、お一つ用意しておかれると重宝いたします。私も読書の際にはブックスタンドを使うようになりまして、長く本を読んでも首が痛くならないことに驚きました。お孫さんにお願いして、通販で取り寄せてもらうのもよろしいですね。
五つ目は胸を開くストレッチでございます。両手を後ろで組んで、胸をぐーっと開きます。肩甲骨を寄せるイメージで行いましょう。一回十秒でも構いません。お料理やスマホ、読書など前かがみになる作業の後に行うのがおすすめでございます。深い呼吸がしやすくなるのを感じられるはずでございます。胸が開きますと、空気が肺の奥までしっかり入ってまいりまして、頭の中までふっと軽くなるような心地がいたします。
姿勢が整うと、心まで軽くなってまいります
不思議なことに、姿勢が変わりますと心も変わってまいります。「なんだか気持ちまで前向きになってきたわ」とおっしゃる方が多いのでございます。これは姿勢と脳がつながっているからだそうでございます。背筋を伸ばすと、幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンやドーパミンが出やすくなると言われております。
逆に猫背で下を向いておりますと、どんよりとした気分になりがちでございます。雨の日に窓の外ばかり見てため息をついていらっしゃるご経験、どなたにもおありかと思います。あれもじつは、姿勢と関係しているのですね。つまり姿勢は、若見えだけでなく心の若さにもつながっているのでございます。お背中を伸ばすことは、ご自分の機嫌をよくする一番手軽な方法でもございます。
そしてこの整え方、特別なお道具もお薬もいりません。高価な美容液をご購入になる必要もございません。今この瞬間に、椅子からすっと背筋を伸ばしていただくだけで始められるのです。これほど節約になる若返り法も、なかなかないのではないでしょうか。お金をかけずにできることほど、長く続きますし、お財布にも優しゅうございます。
私はこれを「お財布に優しい若返り術」と呼んでおります。デパートの一階で売られているような美容液や、雑誌に紹介されている高級なクリーム、どれもお値段を見るとため息が出てしまいますよね。そういったものを我慢して節約に励むのもひとつの暮らし方ですけれど、姿勢を整えることなら、節約と若返りを同時に叶えてくれるのでございます。年金暮らしの中でも、ご自分への一番のご褒美として、無理なく続けられるのが何よりありがたいことでございます。お孫さんへのおやつ代や、お友達とのお茶会代に、そのぶんを回されるのもよろしゅうございますね。
姿勢を整えて変わった、お二人のお話
ここで、姿勢を意識して暮らしが変わった方のお話を、二つほどご紹介させてくださいませ。
お一人目は、六十五歳のけい子さんでございます。久しぶりにお会いになったご友人に「けい子さん、大丈夫。お疲れ。」と声をかけられて、はっとなさったそうでございます。気遣ってくださった言葉なのに、「私、そんなに疲れて見えていたのかしら」とショックを受けられたのですね。美容院にもこまめに通われ、お化粧もしていらしたし、お洋服にも気をつけていらしたそうでございます。
そのお話を娘さんになさったところ、「お母さん、猫背だからじゃない」と言われてしまったそうでございます。そういえば最近、ますます背中が丸くなったような気がする、体重は増えていないのに下腹がたるんできたかもしれない、と思い当たられました。そこで毎日、椅子スクワットと壁立ち背筋チェックを始められたのです。半年後、以前「大丈夫、疲れてる」と聞いてくださったそのご友人にまたお会いになると、今度は「今日は元気そうでよかった」とおっしゃってくださったそうでございます。周りの方々からも「前より若返ってない、何かしてるの」と聞かれることが増えて、外に出るのが楽しくなり、心まで前向きになったとのことでございました。
もうお一人は、七十三歳のまり子さんでございます。ある日スーパーでお買い物をしていらした時、若い店員さんに「おばあちゃん、これ持ちますか」と声をかけられたそうでございます。人生で初めて他人さまから「おばあちゃん」と呼ばれたその言葉が、頭の中で何度も響いたのだとおっしゃいます。お孫さんもいらして、年齢的にはおばあちゃんと呼ばれてもおかしくないのですけれど、ご自分ではまだまだ若いつもりでいらっしゃったので、びっくりしてしまわれたのですね。
その日の夜、ご自分の立ち姿を、正面、横、後ろからスマホのカメラで撮ってご覧になったそうでございます。撮ったお写真を見てみましたら、背中がまるまり、首は前に出て、肩も下がっていらっしゃいました。「これはどこからどう見てもおばあちゃんだわ」と、自分が他人さまにどう見えているのかを自覚せざるを得なかったとおっしゃいます。
そこで毎朝のラジオ体操の前に、胸を開くストレッチと壁に背をつけての姿勢チェックを加えられました。お散歩の時はかかとから着地するように歩くことを意識し、ご趣味の読書の際にはブックスタンドを買って、本を目線の高さにあげて背筋を伸ばして読むことを心がけられました。三ヶ月後、また立ち姿を撮って以前のお写真と見比べてみたら、以前よりちゃんと立てるようになっていらしたそうでございます。肩こりや腰痛もましになって、「この年でもちょっとした習慣を続けることで体って変わるんだな」と嬉しくなられたとのことでございました。
「おばあちゃん」と呼ばれた時はショックだったけれど、あの言葉のおかげで自分を見つめることができ、変わるきっかけになったので、今では感謝しているのよ、とまり子さんはお笑いになっておられました。何気ないひと言が、人生をよい方向に変えてくれることもあるのでございますね。
姿勢は、無料でできる最強の若返り術でございます
いかがでしたでしょうか。若見えとふけ見えの分かれ道は、じつは姿勢にあったのでございます。姿勢が整うと見た目年齢が若返るだけでなく、お気持ちまで前向きになる。つまり姿勢を整えることは、無料でできる最強の若返り術なのでございますね。化粧品代も、エステ代も、サプリメント代もかかりません。お台所に立つたび、お茶をいれるたび、ふっと背筋を伸ばすだけで、ご自分への一番のお手入れになるのでございます。
椅子スクワット、壁立ち背筋チェック、かかとから歩く、スマホや本はお顔の高さで見る、胸を開くストレッチ。どれかひとつでも構いませんので、今日から始めてみてくださいませ。毎日続ける必要はないのです。気がついた時に、思い出した時に、ふっと体を整える。それだけで三ヶ月後のお姿は、きっと違ってまいります。
新緑のこの季節は、外を歩くのが本当に気持ちのよい時期でございます。藤の花や芍薬の咲くお庭を背筋を伸ばして歩いていらっしゃるお姿は、それだけで五月の風景に溶け込んで、本当に美しゅうございますよ。お洋服やお化粧を整えるのも素敵なことですけれど、その土台にあるお姿勢こそが、一番のおめかしなのかもしれません。今日からの一歩で、三ヶ月後、半年後のあなたが、きっと違って見えてまいります。
最後までお読みいただきありがとうございました。





