【70代主婦の節約術】使い切る暮らしで買い足しが減る5つの習慣|家も財布も整う知恵

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【70代主婦の節約術】使い切る暮らしで買い足しが減る5つの習慣|家も財布も整う知恵

庭の芝桜が淡いピンクと薄紫の絨毯を広げ、ベランダ越しに見える欅の若葉が日ごとに色を濃くしてまいります。四月下旬、朝のお掃除のときに窓を開けると、甘いつつじの香りと新緑のにおいが一緒に部屋へ流れ込んでくる、心地のよい季節でございますね。

片付けマダムすみ子でございます。今日は、七十代のご友人・小川静子さんから伺ったお話をもとに、「買い足しが減って家が整う、使い切る暮らしの五つの近道」をお届けしてまいります。

静子さんはご年金暮らしになってから、ただ捨てるのではなく、「今あるものを最後まで使い切りたい」と、より強く思うようになられたそうです。まだ使えるもの、いつか使おうと思っているもの。そんなものが少しずつ残っていくと、片付けにくさだけでなく、気持ちまで重くなることがある。「それだけ暮らしに向き合ってきたからこそ、簡単には決められないのかもしれませんね」と静かにおっしゃっていました。

一つ目の近道 もったいないで止まっていたものを一度使ってみる

「物を大切にしたい」と思って残してきたけれど、気づけば使わないまま引き出しの奥で眠っている。でも、それが実は一番もったいないことかもしれません。

例えば少しだけ使ったノート、書き心地がしっくり来なかったペン、試供品でもらったアメニティ類。こういうものは、引き出しや戸棚の奥に、どこのお家にもきっとありますよね。「いつかは使おう」という気持ちが、実は使いきれない大きな理由の一つなのです。

静子さんもかつて、頂いたブランドのティーカップを「落として欠けたら申し訳ない」と食器棚の奥にしまったままにしておられました。でもある時、思い切って使ってみたら、いつものコーヒーが少し美味しく感じられたのだそうです。たったそれだけのことですが、暮らしの中に小さな満足感が生まれ、「ああ、使ってよかった」と心から思えたとおっしゃっていました。

しまったままだと、ますます出番は遠のきます。でも一度使い始めると、暮らしの中で自然と役目を持ち始める。まずは一つだけ、家の中でもったいなくて止まっているものを手に取って、動かしてみてくださいませ。使いかけのノートでも、しまったままのカップでも、試供品の化粧品でも、何でもよろしいのです。「もったいないから残す」ではなく、「もったいないからこそ使って生かす」と思えるようになると、眠っていたものが少しずつ動き始めます。

二つ目の近道 使いたいものを使う場所の近くに置く

せっかく持っていても、なかなか使いきれない物はお家に意外とございませんか。例えば冷蔵庫の調味料。使い切るつもりでいたのに、気づけば賞味期限が来ていた。そんな時、「やっぱり性格のせいかしら」と自分にがっかりしてしまうこともあります。

静子さんも、安い時にと思ってドレッシングを二本買ったのに、結局使いきれずに処分してしまったことがあるそうです。でも後から思えば、「使うつもりがなかったわけではなく、置き場所が合っていなかっただけ」だったのだと気づかれました。

私たちは見えるものには手が伸びやすいのに、目に入らないものはその存在を忘れやすいものでございます。入浴剤、お試しの化粧品、来客用の布巾や小皿。引き出しの奥や戸棚の上にしまうと、何ヶ月も動かないまま、奥に追いやられてしまったことすら忘れてしまうのですね。

置き場を少し変えるだけで、使い切る流れが生まれやすくなります。入浴剤ならお風呂場の近くに、化粧品なら洗面台や普段使いのポーチの中に、調味料なら目の高さで見える場所に、使いかけのノートやペンなら机の上や冷蔵庫の近くに。すると「今日はこれを使ってみようかな」とわざわざ思い出さなくても、自然に手が伸びるようになります。片付けとは、きれいにしまうことより「自然に使えるようにしておくこと」なのかもしれません。

三つ目の近道 使いにくいものに別の役目を見つける

肌に合わなかったハンドクリーム、香りが強すぎた香水、好みに合わなかったシャンプーやボディソープ。一度使ってみたけれど「思っていたのとちょっと違う」と感じたものには、急に手が伸びなくなります。「買い物を失敗してしまった、仕方なく手放すしかないかしら」と思うこともあるかもしれません。

でも本当は、物そのものがダメだったのではなく「今の自分の感覚に合わなかっただけ」なのかもしれない。そう捉え直すと、他の使い道が少し見えてくるのです。

例えばベタつくハンドクリームは手ではなく、かかとや肘に使ってみる。物によっては皮小物の艶出しに使えることもあります。香りが強い香水は肌ではなく、ハンカチや布に少し香らせてみる。シャンプーやボディソープも体には合わなくても、ヘアブラシの洗浄や洗面台回りの掃除に役立ちます。思っていた使い方には合わなくても、別の役目ならちゃんと生きることがあるのですね。

使いにくくて止まっているものを見つけて、ネットで「(商品名) 使い切る方法」などと調べてみると、思いがけない知恵が見つかるかもしれません。無理して使うのではなく、「納得して使い終えられる」と、ご自分の気持ちもすっきりしやすくなるのでございます。

四つ目の近道 物の向こうにある気持ちに優しく向き合う

使いやすい場所へ動かしたり、別の使い道を見つけたりしても、それでもやっぱり「綺麗なまま取っておく」ことが一番大切にしている形に思えて、気持ちが進まないものもあります。「これを使い切ったら思い出まで消えてしまいそう」「まだこの服を着こなす自信がない」「手放したら、くれた相手に申し訳ない気がする」。そんなものに心当たりはございませんか。

気持ちが重なっているものほど、使い方の工夫だけでは進みにくいんですね。静子さんも昔、いただき物のハンカチや箱に入ったままのお皿を見るたびに「これはまだ使えないな」と思って、大切にしていたものを何年も眠らせたままにしておられたそうです。でも引っ越しの時に、「さすがに、しまっておくだけじゃない向き合い方もあるのかもしれない」と思うようになられました。

思い出を大切にすることと、ただしまっておくことは同じではありません。向き合い方は、まず二つでございます。

一回だけ使ってみる

いただき物のハンカチなら、タグを外して一度洗ってみる。箱に入ったままのお皿も、お茶の時間に一度使ってみる。そうすると、ただ残してあるものではなく、「今の暮らしの中にあるもの」として動き出します。

誰かに託してみる

どうしてもご自分で使う気持ちになれない時は、誰かに託すのも優しい選び方の一つです。ご家族や身近な人に譲って、使ってくれる人の手に渡れば、また暮らしの中で役に立っていきます。静子さんご自身も、なかなか使えなかった贈答品のハンカチを娘さんが喜んで受け取ってくださったことがあったそうです。「ちゃんと使ってくれる人がいる」。そう思えただけで、心がふっと軽くなったのだとか。

贈ってくださった人への感謝も込めながら、「使うか、託すか」をもう一度優しく選び直すこと。その区切りが、物だけでなくご自分の心まで、そっと前に進めてくれるのでございます。

五つ目の近道 出費を増やさないための工夫

気持ちに区切りがついて、物が少しずつ動き始めると、家の中に何があるかも見えやすくなります。すると「まだあったのに、また買ってしまった」といううっかりも減っていくのです。

例えば洗面台の下にシャンプーがまだあるのに、特売を見るとつい買ってしまう。冷蔵庫の奥に調味料が残っているのに、似たようなものをまた買ってしまう。「安い時に買っておく方がお得じゃないの」と感じることもありますよね。確かに、その場で払う金額は安く済むかもしれません。でも、その代わりに物を管理する手間も増えてしまうのです。

在庫が見えていないと、つい二重買いしてしまいます。「切らしていたかもしれない」「足りなくなったら困る」、こんな不安が先に立つと、ついかごに入れてしまう。本当はまだ家にあるのに、安心のためにもう一つ買ってしまう。そんな流れが起こりやすくなるのですね。

静子さんも以前は「あっても困らないし、いずれ使うから」とつい買い足してしまうことがありました。かごに入れる瞬間はちゃんと備えられた気がして、お得に買えた安心感もある。でも家に帰ると使いきれていないものが増えて、なぜかずっとすっきりしないままだったそうです。

反対に、家の中の在庫が見えていれば「足りなくなったら困る」という不安も静まって、買い物そのものが落ち着いていきます。今あるものが分かっているだけで、気持ちの焦りが減って、特売の空気にも振り回されにくくなるのです。

なぜ私たちは「もったいない」から動けなくなるのか

ここで少し、心理の話を挟ませてくださいませ。七十代の私たちが、なぜ「もったいない」でしまい込んでしまうのか。その根っこには、戦中戦後の「物のない時代」を知るご世代特有の価値観が静かに息をしております。

物が少ない暮らしを知っているからこそ、「捨てる=罰当たり」という感覚がしみついている。さらに、贈り物には「贈ってくださった方の気持ち」が含まれるので、手放すことが相手への裏切りのように感じられることもあります。これは優しさの証でもあるのですね。

けれども、使わないまましまい込むことと、大切にすることは、実は別物でございます。引き出しの奥でホコリをかぶって劣化していく姿を、贈ってくださった方がご覧になったら、きっとこうおっしゃるのではないでしょうか。「どうぞ、使ってやってね」と。物は使われてこそ、ようやく本来の役目を果たすのです。

そしてもう一つ、「使い切れない自分」を責めてしまう心の癖もございます。以前の自分なら使い切れたはずなのに、今はそれができない。その落差に、静かに落ち込んでしまうのですね。でも、使い切れなくなったのは、ご自分が怠けたからではありません。ライフステージが変わり、必要な量も種類も変わっただけ。ご自分を責める必要は、どこにもないのでございます。

七十三歳のH子さんが見せてくれた「使い切りノート」

先日、静子さんのご友人でもある七十三歳のH子さんとご一緒にお茶をいただきました。H子さんはお台所の引き出しの一番奥に、小さな大学ノートをお持ちでした。表紙には「使い切りノート」と書かれております。

ノートを拝見すると、こんな風に日付入りで記されておりました。「三月十二日、奥様から頂戴した入浴剤、薔薇の香り、六袋残。お風呂場へ移動」「三月二十日、一袋使用。気分が華やいだ」「四月一日、娘の帰省のときに二袋お土産に。残三袋」。たったこれだけのメモでございますが、一袋三百円ほどの入浴剤が「眠っていたもの」から「暮らしに動いているもの」へと変わっていく様子が、静かに記録されておりました。

H子さんは「最初は面倒でしたけれど、引き出しを開けるたびに『これは今動いているもの』と分かるのが、思った以上に安心なんです」とおっしゃいました。年金から毎月やりくりしてこられた方ならではの、しみじみとした知恵でございますね。ノートを書くのが億劫な方は、シャンプーや調味料のボトルに小さな付箋で「四月十五日開封」と貼るだけでも、同じ効果があるそうです。

使い切る暮らしは「これからを守る」暮らし

根元にあるものを最後まで生かすことは、暮らしの中の無駄を減らすだけではなく、これからの毎日を優しく守っていくことでもあります。

もったいない気持ち、手が届く場所に置いていなかったこと、別の使い道を知らなかったこと、そして思い出に区切りがついていなかったこと。どれも大切にしてきたからこその迷いかもしれません。一度使ってみること、目に入る場所に移してみること、使ってくれる人に託してみること。そうやって少しずつ動かしていくと、暮らしも家計も静かに整い始めるのです。

「節約」というと、何かを我慢することだと思いがちです。でもまずは、家の中に何があるかにちゃんと向き合うことの方が、暮らしを落ち着かせてくれるのかもしれません。家の中に余白ができると、「今月も大丈夫」そんな安心にも繋がっていきます。

今日ご紹介した五つの近道、どれからでもよろしいのです。引き出しを一つ開けてみる、しまい込んでいたカップでお茶を一杯淹れてみる、シャンプーを買う前に洗面台の下を覗いてみる。そんな小さな一歩が、使い切る暮らしの入り口でございます。

最後までお読みいただきありがとうございました。