夏支度で手放したい家電・調理器具7|キッチンが涼しくなる60代からの台所整え方
5月の半ばを過ぎますと、お台所の窓を開けてもなかなか風が抜けず、お昼前のキッチンにすでに汗ばむような熱気がこもりはじめます。お庭の若葉がぐんと色を濃くし、麦茶を冷やすボトルが冷蔵庫に並びはじめる頃――。それは、皆さまのお台所がこれから長い夏の戦いに入っていく合図でございます。
片付けマダムすみ子です。今日もお目にかかれて嬉しゅうございます。
毎年この時期になりますと、私のもとには「キッチンに立つだけで頭がくらくらする」「重い鍋を下ろそうとして肩を傷めた」「使っていない家電が棚を占領している」――そんなお悩みのお声が次々と届きます。
そう、夏のキッチンは家の中で最も暑くなる場所のひとつ。コンロの熱、オーブンの輻射熱、そして冷蔵庫の背面から立ちのぼる排熱が、小さな台所の中に集まって、まるでサウナのような状態を作り出してしまうのです。
環境省のデータによれば、真夏のキッチンの体感温度は、ほかのお部屋よりも3度から5度も高くなると言われています。
そしてそんな過酷な空間に、使わない調理家電や重い鍋がぎっしり詰まっていると、空気の通り道までふさがれてしまい、熱はますますこもりやすくなるのですよ。
でもね、皆さま。
大切なのは、エアコンを強くかけることでも、キッチンに立つ時間をひたすら短くすることでもございません。今のお体に合わない道具を、思い切って手放してさしあげること。それだけで、お台所はびっくりするほど涼しく、軽やかに変わってまいります。
今日は、夏本番までのこの貴重な数週間に、ぜひ手放していただきたい「7つの家電・調理器具」を、ひとつずつご一緒にめくってまいりましょう。

👉なぜ「夏支度」のキッチン捨て活がそれほど大切なのか
まず初めに、なぜ夏が始まる前に動いていただきたいのか。そのお話を少しだけさせてくださいませ。
夏のキッチンは、暑さとの戦いだけではございません。重い物を持ち上げる動作、踏み台に乗って棚の上から家電を下ろす動作――これらが、60代70代のお体に少しずつ負担を蓄積していくのです。
棚の上の重いホームベーカリーを下ろそうとして肩を傷めたり、ぎっくり腰を起こされたりするご相談を、私は本当に数えきれないほど伺ってまいりました。
さらに、使っていない家電は埃をかぶり、火災のリスクも生まれます。
消費者庁の調査では、古い小型家電からの発火事故が毎年100件以上報告されているのですよ。コンセントを差したまま放置された炊飯器やトースターが、思わぬ事故の引き金になることもあるのです。
つまり夏支度のキッチン捨て活は、お台所を涼しくして、お体を守って、そしてご家族の安全までも守ってくれる「一石三鳥」の暮らしの知恵。
これから始まる長い夏を、心地よく乗り切るための準備運動なのですわ。
👉① 使わないホームベーカリー――棚の上の「重たい記念碑」
お子様がまだ小さかった頃、焼きたてのパンの香りでお家を満たしてくれたホームベーカリー。
皆さまのお家にも、棚の上にひっそりと鎮座していらっしゃいませんか?
ホームベーカリーは奥行きも高さもあって、棚の中で本当に場所を取る家電なんですよ。重さも5キロ前後――棚の上から下ろすだけで、腕がぷるぷる震えるほどでございます。
68歳のY子様のお宅にお邪魔したときのこと。
棚の一番上に、10年以上前に買われたホームベーカリーが、うっすらと埃をかぶって乗っておりました。最後にお使いになったのは8年前のお正月、お孫さんが遊びに来た時だけだったそうです。
「捨てるのはもったいない、でも使わない」――そんな宙ぶらりんの状態が、長く続いていらしたんですね。
思い切ってリサイクルショップにお持ちになると、状態がよかったので3000円で引き取っていただけたとのこと。
棚の上が空いた瞬間、Y子様は「キッチンの空気が変わった気がするわ」と、ぽつりとおっしゃいました。
動くものはリサイクルショップへ、動かないものは小型家電回収ボックスへ。
お住まいの自治体の回収ルールをご確認くださいね。
👉② 壊れかけのトースター――「火災の小さな種」
毎朝のトーストに大活躍してくれているトースター。
でも、片側だけ焼け色がつかない、扉の蝶番がぐらぐらする、タイマーが正しく動かない――そんな状態のまま、お使いではございませんか?
壊れかけの家電は、使うたびにストレスがたまるだけでなく、火災の原因にもなりかねません。
消費者庁の調査では、古い小型家電からの発火事故が毎年100件以上報告されているのですよ。
72歳のK代様は、なんと25年以上同じトースターをお使いでした。扉が閉まりにくくなり、タイマーも信用できないので、コンロの前に張りついて見張っていらしたそうです。
夏のキッチンでコンロの前に立ち続ける――これがどれほどお辛いかは、皆さまもご想像いただけると思います。
新しいトースターに買い替えられてからは、火加減を見張る必要もなくなり、朝の支度がぐっと楽になったとお喜びでした。
古いトースターは小型家電リサイクル法の対象です。自治体の回収ボックスや、家電量販店の下取りキャンペーンを活用してくださいね。
👉③ 1年使っていない圧力鍋――「使いこなせなかったお道具」
圧力鍋は本当に便利な調理器具です。でも、使いこなせるかどうかは、また別のお話なんですよ。
蓋の取り扱いが難しい、パッキンの劣化が心配、重くて持ち上げるのが大変――そんな理由で、棚の奥にしまい込んでいらっしゃる方が本当に多いのです。
圧力鍋は重さが3キロから5キロ。これを夏の暑いキッチンで持ち上げて、火にかけて、蒸らして、蓋を開ける。60代70代のお体には、なかなかの重労働でございます。
70歳のM様のお宅では、ご結婚祝いでいただいた圧力鍋が、30年間も棚の奥にひっそりと眠っていらっしゃいました。
たまに使おうとしても、パッキンが固くなっていて、うまく圧がかからない。結局「普通のお鍋でコトコト煮る方が安心ね」と気づかれて、思い切って手放されたそうです。
棚の奥が空いたことで、毎日使うお鍋の出し入れが本当に楽になり、お料理の時間まで短くなったとのこと。
圧力鍋はリサイクルショップで引き取ってくださることが多く、状態がよければフリマアプリでも需要がございますよ。
👉④ 古いミキサー――「衛生面の落とし穴」
健康のためにとスムージーブームで買われたミキサー。お子様の離乳食作りに大活躍したミキサー。
今もう、毎日お使いでしょうか?
ミキサーは刃の周りに食材のカスがたまりやすく、衛生面でも気をつけたい家電です。プラスチック部分は経年劣化で曇り、細かい傷に雑菌が繁殖しやすくなります。
夏場は特に、食中毒のリスクが高まる時期。状態のよくないミキサーは、思い切って手放しましょう。
75歳のH子様は、20年前のミキサーを今も大切にお使いでした。けれど、刃の付け根のゴムパッキンが劣化していて、使うたびに液体がじわりと漏れていらしたそうです。
無理して使い続けるよりも、今のお体に合った小さなハンディブレンダーに買い替えられて、軽くて出し入れも楽になったとお喜びでした。
古いミキサーも小型家電リサイクル法の対象です。刃の部分は、ケガをなさらないよう、新聞紙でしっかり包んでから処分してくださいね。
👉⑤ 未使用のまま放置の調理家電――「いつか使うかも」の集積地
ヨーグルトメーカー、低温調理器、電気圧力鍋、フードプロセッサー、ハンドミキサー――。
テレビショッピングや雑誌の特集を見て、つい買ってしまった調理家電。箱に入ったまま、一度も使わずに棚にしまっていらっしゃいませんか?
実はこれが、一番手放しにくいものなんですよ。
使っていないからこそ「もったいない、いつか使うかも」というお気持ちが強くなってしまうんですね。
でも考えてみてくださいませ。1年以上箱を開けていない家電は、おそらくこの先も開けません。
73歳のT江様のお宅では、5年前に買われたヨーグルトメーカーが未開封のまま棚に。さらに低温調理器、ハンドミキサー、フードプロセッサーまで、すべて箱入りで眠っていらっしゃいました。
思い切ってまとめてフリマアプリに出品されたところ、なんと2万円以上のお小遣いになったそうです。新品同様の家電は、意外と高く売れるんですよ。
リサイクルショップ、フリマアプリ、ご親戚のお若い方への譲渡。
使っていただける方の手に渡してさしあげるのが、お道具にとっての一番の供養になります。
キッチンの捨て活全般については、キッチンの捨て活7選もぜひあわせてご覧くださいませ。
👉⑥ 重い鉄鍋――「愛着」と「お体」の天秤
鉄のフライパン、鉄製の中華鍋、ダッチオーブン――。
お料理上手な方が憧れる、味のある調理器具ですね。でも60代70代になりますと、この重さが本当にお体に堪えるんですよ。
鉄のフライパン1つでおよそ2キロ。毎日これを片手で持ち上げて、振って、洗って、油を塗って――。
この一連の動作が、手首と肩と腰に少しずつ負担を蓄積していくのです。
71歳のN子様は、50代の頃から愛用されている鉄の中華鍋を、ずっと無理して使い続けていらっしゃいました。ある日お料理中に、鍋を振った瞬間に肩を傷めてしまわれたんです。
それから1ヶ月、お料理ができなくなり、ご家族に大変ご迷惑をおかけしたとのこと。
今は軽いアルミのフライパンに切り替えられて、毎日のお料理が嘘のように楽になったとおっしゃっていました。
愛着のあるお道具を手放すのは、寂しいものでございます。
でもね、今のお体に合ったお道具を選び直すことは、自分自身を大切にする立派な決断なんですよ。
鉄鍋はリサイクルショップで引き取っていただけることが多いです。自治体の金属ゴミとして処分する場合は、重量がありますので、ご家族か業者さんにご相談くださいね。
👉⑦ 贈答品の高級鍋セット――「飾られたままの30年」
ご結婚祝い、退職祝い、お祝い事でいただいた高級ブランドの鍋セット。5つ6つの鍋がぎっしり詰まったセット。
皆さまのお家にも、棚の一番下にひっそりと眠っていらっしゃいませんか?
高級なお鍋ほど重く、60代70代のお体には扱いきれないことが多いのです。そして実際にお使いになるサイズは、せいぜい2つか3つ。残りの鍋は、ずっと棚の奥で場所を取り続けているんですね。
69歳のA子様は、30年前のご結婚祝いでいただいた高級鍋セットを、棚の一番下に大切に保管されていました。お使いになっているのは、小さな片手鍋1つだけ。残りの5つは、一度も使わないまま30年が過ぎていたそうです。
思い切ってお気に入りの2つだけを残し、残りはフリマアプリで売却。ブランド品は予想以上に高く売れて、5万円以上のお小遣いになったとお喜びでした。
棚の一番下が空いた結果、しゃがんで物を取り出す回数が減って、膝への負担も軽くなったとのこと。
贈答品を手放すことに罪悪感を持たれる方が多いのですが、贈ってくださった方も、皆さまが無理をして使い続けることは、決して望んでいらっしゃいませんよ。
👉夏支度の捨て活でやりがちな「3つの失敗パターン」
ここで、夏支度の捨て活でよくお見かけする3つの失敗パターンを、こっそりお伝えしておきますね。
失敗パターン1:暑い日に一気にやろうとすること
キッチンの片付けは、想像以上に体力を使います。真夏の昼間に一気にやろうとすると、熱中症のリスクがございます。
朝の涼しい時間帯に、1日1つだけ、1週間かけてゆっくり進めるのがおすすめです。
失敗パターン2:棚の高い場所から無理に下ろすこと
棚の上の重い家電や鍋を、お一人で下ろそうとなさらないでくださいね。踏み台に乗って重いものを下ろす――これは本当に危険な動作なんです。
必ずご家族に手伝っていただくか、業者さんにお願いしてください。
重たい家具や家電の手放し方については、シニアの大型家具や家電の手放し方に詳しくまとめております。
失敗パターン3:「まだ使えるから」と取っておくこと
「まだ使える」は、「使っていない」と同じ意味なんですよ。
1年使っていない家電や鍋は、この先もおそらくお使いになりません。潔く手放して、今のお体に合った道具だけを残してくださいませ。
👉今日から始める「5つの簡単ステップ」
「7つもあると、どこから手をつければいいのかしら……」とお感じになった皆さまに、今日からすぐに始められる5つの簡単ステップをご紹介いたしますね。
ステップ1:棚の一番上の段を1つだけ確認する
棚の上に何が乗っているか、まずは1つだけ下ろして確認してみてください。1年使っていなければ、手放し候補に入れていただいて結構ですよ。
ステップ2:シンク下の鍋を全部出してみる
シンク下に鍋がいくつあるか、数えたことはございますか?
いったん全部出してみると、同じような鍋が3つも4つもあったりするんですよ。
ステップ3:毎日使う調理家電を3つだけ選ぶ
毎日お使いになる家電を3つだけ選んで、カウンターの一等地に置いてください。それ以外は、棚の中か、手放し候補へ。
ステップ4:重いものは下の段、軽いものは上の段
収納の鉄則です。重いものを上に置くと、取り出すたびに事故のリスクがございます。夏支度のタイミングで、配置を見直してみてくださいね。
ステップ5:1日1つを目標に
7つの捨て活を全部やろうとせず、「1日に1つだけ」と決めてくださいね。1週間で7つ、1ヶ月で30個分の物がキッチンから出ていきます。
これだけで、真夏のキッチンが本当に涼しくなりますよ。
夏のキッチン整理と並行して、冷蔵庫の中身もぜひ見直してみてください。70代の冷蔵庫整理5ルールもあわせてご覧いただくと、夏のキッチンが一段と整いますわ。
👉おわりに:涼やかで、軽やかな夏のキッチンへ
皆さま、長いお話に最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
夏のキッチンが整っていると、お料理が楽しくなり、ご家族の食卓も明るくなるんですよ。そして何より、皆さまご自身のお体を守ることにつながります。
今のお体に合った道具を選び直すこと――。
これは決して後ろ向きな捨て活ではなく、自分を大切にする前向きな選択なのです。
夏本番まであと少し。今こそ動き始める絶好のタイミングでございます。
完璧を目指さなくていいんです。
- 今日は、使っていないトースターを1つだけ。
- 明日は、重い鉄鍋を1つだけ。
- 明後日は、未使用の調理家電を1つだけ。
そんな小さな小さな一歩が、皆さまの夏のキッチンを、涼しく快適に変えてくれます。
夏の3ヶ月を快適に過ごせれば、その後の秋も冬も、お台所はずっと心地よく整ってまいりますよ。
窓の外でじりじりと照りつける日差しの中でも、ふと「うちの台所は涼しいわ」と思える――そんな穏やかな時間を、ぜひ皆さまの暮らしに取り戻していただきたいのです。
片付けマダムすみ子は、皆さまの夏のキッチンが、軽やかで美しいものになりますよう、心から応援しておりますわ。
それでは、また次のブログでお会いしましょうね。
ごきげんよう。





