捨て活で取り戻す5つの時間|60代からの人生時間の使い方と後悔しない時間設計
朝、カーテンを開けて、お気に入りのカップにお湯を注ぐ――。その一瞬に「あら、今日はずいぶん静かな朝だこと」とふと感じることはございませんか。年齢を重ねますと、若い頃にはあれほど追い立てられていた時間が、いつのまにか自分の手の中にそっと戻ってきていることに、ふと気づく日がやってまいります。
皆さま、お変わりございませんか。片付けマダムすみ子です。
皆さま、60代を迎えると、ある日ふと胸のあたりに小さな問いが浮かぶことはありませんか。
「あれ、私の人生、残された時間ってどれくらいなのかしら」――。
日本人女性の平均寿命は87歳、健康寿命は75歳と言われています。
つまり、ご自分のお足で歩いて、ご自分のお口で美味しいものを召し上がれる時間は、あと10年から15年ほど。
この貴重な貴重な時間を、どう使うかで、これからの人生の豊かさが大きく変わってくるのですよ。
そしてここに、もう一つ私が皆さまにお伝えしたい大切な数字がございます。
ある調査では、私たちが一生のうちに「探し物」をしている時間は、累計でおよそ2400時間――100日分にものぼるそうです。
さらに、お掃除に費やす時間は週5時間、年間にすると260時間。30年で7800時間――。これは325日、つまりほぼ1年分に相当します。
物が多いと、私たちは知らず知らずのうちに、膨大な時間を「物の管理」に奪われているのですね。
でも逆に申せば、捨て活で物を減らせば、失っていた時間を取り戻すことができる、ということでもあるのです。
今日は、捨て活によって取り戻せる「5つの時間」と、さらに後悔しないための「3つの時間設計のコツ」を、ひとつずつご一緒にめくってまいりましょう。
なお、持病やご体調にご不安のある方は、必ずかかりつけのお医者様にもご相談くださいね。今日のお話は、あくまで暮らしのヒントとしてお聞きいただければ嬉しいですわ。

👉なぜ「時間」という視点で捨て活を考えるのか
まず初めに、なぜ私が「時間」という視点から捨て活をお話ししたいのか。そのお話を少しだけさせてくださいませ。
私たちは、捨て活というと「お部屋がきれいになる」「物が減って気持ちがよい」――そんなイメージを持ちがちです。もちろん、それも捨て活の素敵な効果の一つでございます。
けれど、60代70代を迎えた今、本当に大切にしたいのは「お部屋」よりも「ご自分の人生時間」ではないでしょうか。
私たちには、もう若い頃のように「いくらでもある時間」はございません。
朝起きて、ご飯を食べて、お買い物に行って、お料理をして――。それだけで1日の体力の半分は使ってしまうのが、60代以降のリアルな暮らしですよね。
その限られた1日の中で、探し物に30分、無駄に長い掃除に1時間、あれこれ迷う時間に20分――。気づけば1日のうち2時間近くを、「物に振り回された時間」で失っているとしたら……。
それは、皆さまの残りの人生から、その分だけ「自由な時間」が削られているということなのです。
捨て活は、お部屋を整える行為ではありません。
皆さまの人生時間を、皆さまの手に取り戻すための、しずかな営みなのですよ。
👉① 探し物の時間が消える
皆さまは1日にどれくらいの時間を、探し物に使っていらっしゃいますか?
鍵がない。老眼鏡がない。リモコンがない。通帳がない――。
それぞれが5分10分の小さな探し物でも、1日に積み重なれば30分、1時間になることもあるんですよ。
アメリカの調査では、平均的な人は1日に55分間、物を探していると報告されています。
1年間にするとおよそ335時間、つまり14日間も「探し物だけ」をしている計算になるのです。
68歳のT子様は、引き出しの中の物を半分に減らしただけで、1日の探し物時間がほぼゼロになったとお話されていました。
以前は印鑑を探すのに15分かかっていたのに、今は5秒で取り出せる。「すみ子さん、引き出しが浅くなっただけで、こんなに人生変わるものなのね」――そのお声が、今でも耳に残っておりますわ。
物が少ないと、どこに何があるかが一目で分かります。
引き出しの中身を半分にする、クローゼットのお洋服を3割減らす、本棚の本を選び抜く――。これだけで、失っていた数百時間が皆さまの元に戻ってくるのですよ。
👉② 掃除の時間が半分になる
お部屋にある物が多ければ多いほど、お掃除の手間は雪だるまのように増えていきます。
棚に物が並んでいれば、一つずつどけて拭く。
床に物が置かれていれば、移動してから掃除機をかける。
飾り物が多ければ、すべてのホコリをひとつずつ払う必要がある――。
これらの作業時間を合計いたしますと、物が多いお家と少ないお家では、お掃除時間に2倍以上の差が出ると言われています。
72歳のK子様は、ご自身の家具と置物を半分に減らされた後、掃除機をかける時間が30分から12分に短縮されたそうです。
毎日18分、1週間で2時間以上の時間が浮く計算ですね。
さらに棚の上にホコリが溜まりやすい飾り物がなくなったことで、拭き掃除の頻度も減ったとのこと。
物が少ないお家は、お掃除しやすいだけでなく、自然と汚れにくい構造になるのですよ。
リビングの飾り物を半分に減らす、床に直置きしている物をなくす、トイレの棚から物を出す――。この3つを実行するだけで、お掃除の時間は驚くほど短くなりますわ。
お掃除時間を減らす具体的な方法は、掃除の時間を今の3分の1に減らす方法に詳しくまとめておりますので、あわせてご覧くださいませ。
👉③ 心配する時間が減る
これは目に見えにくいのですが、実はとても大きな時間の節約になるんですよ。
物が多いと、私たちは無意識のうちに、さまざまな心配を抱えています。
「このタンスは地震で倒れないかしら」
「あの押入れの中身はカビていないかしら」
「引き出しの奥のあの書類、まだあったかしら」――。
こうした小さな小さな心配が、積み重なって心の余裕を静かに奪っていくんですね。
さらにシニア世代特有の心配もございます。
「私が亡くなった後、子供たちはこの大量の物をどうするのかしら」――。
この心配は60代を過ぎますと、多くの方の心の片隅にずっと居座る、重たい荷物になっていくのですよ。
75歳のM子様は、押入れの中身を3割減らしただけで、夜中に目が覚めることがなくなったとお話されていました。
以前は寝る前に「あの段ボール箱の中身は何だったかしら」と気になって眠れない夜があったそうです。
押入れが軽くなった日から、不思議と寝つきまで良くなったと、目を細めていらっしゃいました。
物を手放すことは、物だけでなく、物にまつわる心配ごとも一緒に手放すこと。
この心の自由は、お金では決して買えない貴重な時間なのですわ。
👉④ 選ぶ時間が短くなる
毎朝のお洋服選びに、どれくらい時間をかけていらっしゃいますか?
ある研究では、選択肢が多すぎると人は決められなくなり、結果として満足度も下がると報告されています。
これを「選択疲れ」と呼びます。
クローゼットに100着のお洋服があるのと、30着しかないのとでは、選ぶ時間と心の負担が大きく違うのですよ。
シニア世代になりますと、朝の貴重な時間をお洋服選びで消耗してしまうのは、本当にもったいないことでございます。
70歳のS子様は、クローゼットのお洋服を3分の1に減らされた後、朝の身支度時間が30分から10分になったそうです。
しかも残したお洋服は全部お気に入りばかりなので、どれを着ても気分が上がる。「朝が楽しみになったのよ、こんな歳になって」と笑っていらっしゃいました。
これはお洋服だけではございません。
お皿が30種類あると、「今日は何のお皿を使おうかしら」と迷う。
でも本当に使うのは、結局決まった5枚10枚のお皿だけ。
残りのお皿を手放せば、お料理を盛りつける時間も短くなりますね。
選ぶ時間を減らすことは、人生の質を上げる、とても大切な投資なんですよ。
お洋服を上手に減らす具体的な手順は、服を手放す5つの基準に詳しく書いておりますので、ご参考になさってください。
👉⑤ 本当にやりたいことの時間が増える
そして、これが今日お伝えする中で、一番大切な時間でございます。
探し物の時間、掃除の時間、心配する時間、選ぶ時間――。これらを合計しますと、1日に1時間、2時間という数字になります。
1日2時間が浮けば、1週間で14時間、1ヶ月で60時間。
1年間にしますと、およそ720時間――つまり1ヶ月分の時間が、新しく生まれてくるんですよ。
この時間で、皆さまは何をなさいますか?
ずっとやってみたかった習い事を始める。
お友達とゆっくりお茶を飲む。
お孫さんと公園を散歩する。
本を読む、お庭の手入れをする、旅行に出かける――。
73歳のN子様は、捨て活を始めて1年後、念願だった水彩画教室に通い始められました。
以前は「時間がないわ」と言って諦めていたのが、物を減らしたことで余裕が生まれたんですね。
今では月に2回の教室と、週に3日のご自宅練習を、心から楽しみに毎日を過ごしていらっしゃいます。
「すみ子さん、私の人生、まだ続きがあったのよ」――その一言に、捨て活の本当の意味がぎゅっと詰まっている気がいたしました。
物に奪われていた時間が、ご自分の人生を彩る時間に変わる。
これこそが、捨て活の本当の価値なんですよ。
👉後悔しない時間設計の3つのコツ
ここからは、捨て活で取り戻した時間を、どう使えば後悔しないか――。3つのコツをお伝えします。
取り戻した時間の使い方で、これからの人生の豊かさが決まりますからね。
A. 朝の30分は自分のためだけに
シニア世代の朝の時間は、本当に貴重です。
夜は早く眠くなる方が多いので、1日のゴールデンタイムは朝の時間帯になります。
この朝の30分を、ご家族のためでも、家事のためでもなく、ご自分のためだけに使ってみてください。
- お気に入りの紅茶をゆっくり飲む。
- 窓辺で本を10ページだけ読む。
- お庭の植物に水をやりながら、深呼吸する。
- 簡単な体操やストレッチをする。
内容は、何でもいいんです。
大切なのは「これは私のための時間」と、心の中で宣言すること。
71歳のH子様は、毎朝5時半から30分間、お気に入りの椅子で日記を書く時間を作っていらっしゃいます。
「この30分があるから、1日を穏やかな気持ちで始められるのよ」とお話されていました。
ご自分のための時間を持つことは、決してわがままではありません。
ご自分を大切になさる方だけが、周りの方にも本当の優しさを向けられるのですよ。
B. 週1回の何もしない日
週に1日でいいので、「何もしない日」を作ってみてください。
予定を入れない、家事を頑張らない、お買い物にも行かない。ただ、ぼーっと過ごす1日を作るんです。
シニア世代は若い頃と違って、体力にも気力にも限りがございます。
毎日頑張り続けますと、お体も心も疲弊してしまうんですね。
週1回の「何もしない日」を作ることで、体と心の回復力が戻ってまいります。
結果として、残りの6日間がより充実するんですよ。
76歳のY子様は、毎週水曜日を「何もしない日」と決めていらっしゃいます。
その日は朝寝坊もOK、お食事も簡単なもので済ませる、お洋服もパジャマのままでもいい。
「この1日があるから、他の6日間を頑張れるのよ」と、にっこり笑われていました。
「何もしない日」は、怠けではなく、計画的な休息でございます。
カレンダーに「何もしない日」と書き込んで、大切な予定としてお守りくださいね。
C. 年1回の人生棚卸し
毎年1回、ご自分の人生を棚卸しする時間を作ってみてください。
お正月でも、お誕生日でも、春分でも秋分でも構いません。
1年に1度、半日だけでもご自分と向き合う時間を持つんです。
内容は3つだけ。
- この1年で良かったことを5つ書き出す。
- 来年やりたいことを3つ書き出す。
- 手放したいものを1つ決める。
これだけで、1年がぐっと味わい深いものになりますよ。
68歳のW子様は、毎年元旦の朝に、この棚卸しを行っていらっしゃいます。
書き出した内容を小さなノートに記録して、翌年の元旦に読み返す。
1年間のご自分の成長と変化が見えて、何よりご自分の人生が愛おしくなるとお話されていました。
人生は、気づいたら終わってしまうもの。
だからこそ意識的に振り返り、意識的に未来を描く時間が必要なのですわ。
👉時間の使い方でやりがちな「3つの失敗パターン」
ここで、せっかく取り戻した時間を、また失ってしまわないように――。よくある3つの失敗パターンを、こっそりお伝えしておきますね。
失敗パターン1:時間ができたら必ず何かで埋めてしまうこと
捨て活で時間ができますと、嬉しくてつい予定を詰め込んでしまう方が多いんです。
でもそれでは、また忙しい日々に逆戻りしてしまいます。
「何もない時間」「余白の時間」も、意識的に残してくださいね。
失敗パターン2:他人の時間に流されてしまうこと
お友達からのお誘い、ご家族からの頼まれごと――。
すべてに応えていますと、ご自分の時間がなくなってしまいます。
大切なのは、ご自分の時間に優先順位をつけること。
時には「お気持ちだけいただくわ」とお断りする勇気も必要ですよ。
失敗パターン3:完璧を目指してしまうこと
「毎朝必ず30分自分の時間を取らなくちゃ」
「週に1日必ず何もしない日を作らなくちゃ」――。
こう思い詰めますと、かえってストレスになってしまいます。
できる週もあれば、できない週もある。それでいいんですよ。
👉今日から始める「5つの簡単ステップ」
「いきなり時間設計と言われても、どこから始めればいいのかしら……」とお感じになった皆さまに、今日からすぐに始められる5つの簡単ステップをご紹介しますね。
ステップ1:1日の終わりに今日の時間の使い方を振り返る
寝る前の3分でいいです。
今日の時間で「良かったこと」「もったいなかったこと」を思い返してみてください。
これだけで、時間の使い方への意識が静かに変わってまいります。
ステップ2:引き出し1段だけ片付ける
捨て活は、小さく始めるのが続けるコツ。
今日は引き出し1段、明日はもう1段。小さな成功体験を積み重ねてくださいね。
ステップ3:朝起きたら最初の10分を自分のために使う
30分は難しくても、10分なら誰でもできます。
お茶を入れる、窓を開けて深呼吸する。この10分が、1日を穏やかにしてくれますよ。
ステップ4:「何もしない時間」を予定表に入れる
「何もしない時間」も、立派な予定です。
週1回1時間でいいので、「何もしない」と予定表に書き込んでみてください。
ステップ5:捨て活で生まれた時間で、何か1つ新しいことを始める
時間ができても、使い方が分からないと宝の持ち腐れになってしまいます。
習い事、散歩、読書、おしゃべり――。何でもいいので、1つ新しいことを始めてみてくださいね。
👉おわりに:取り戻した時間で、人生のもうひとつの章を
皆さま、長いお話に最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
人生の時間は、有限です。
でも、捨て活で物を減らせば、失っていた時間を取り戻すことができるんですよ。
- 探し物の時間が消える。
- 掃除の時間が半分になる。
- 心配する時間が減る。
- 選ぶ時間が短くなる。
- そして本当にやりたいことの時間が、増える。
この5つの時間が皆さまの元に戻ってくれば、人生の最後の章は、きっと豊かなものになります。
朝の30分はご自分のためだけに。
週1回の何もしない日。
年1回の人生棚卸し。
この3つを意識するだけで、残された時間がもっと愛おしく感じられるようになりますよ。
皆さまの人生時間は、皆さまだけのもの。
他人のためでもなく、物のためでもなく――。
どうかご自分の幸せのために、お使いくださいませ。
シニア世代の暮らしを軽やかに整える知恵については、70代ひとり暮らしの時間術もあわせてご覧いただくと、より時間の使い方への気づきが深まるかと思いますわ。
片付けマダムすみ子は、皆さまの毎日が、取り戻した時間で彩られた豊かなものになりますよう、心から応援しておりますわ。
それでは、また次のブログでお会いしましょうね。
ごきげんよう。





